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連載:フクダ ヒロア ブログ

フクダヒロア

ファンクラブブログ(現在は公開終了)

Summary 要約

フクダヒロアがファンクラブのブログで連載していた、歌集・詩集を一冊ずつ紹介するコラム全20回。好きな歌を挙げながら、作品の空気感や「どんな人に合うか」を短く語る。

Reading list 全 20 回 · 歌は各歌集から引用

01 / 20夏の思い出CONTENTS
  1. 01夏の思い出

    『地上絵』橋爪志保

    ビルをつくるひとはやる気があるんだなあ 悲しい時はジャンプしてみる

    ジャンプをして一時的に少しでも高い位置に行く事。元気が出るかと思います。

  2. 02まほう

    『今日は誰にも愛されたかった』岡野大嗣、木下龍也、谷川俊太郎

    倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使

    お誕生日ケーキを運ぶ時、落とさない様にケーキを運ぶ純粋な懸命。 その人のみを思う少ない20秒くらいの時間が天使だなと思います。

  3. 03ぬくもり

    『夜空はいつでも最高密度の青色だ』最果タヒ

    都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない。夜空はいつでも最高密度の青色だ。きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間、きみはきっと世界を嫌いでいい。そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない。

    渋谷、新宿。排他的な都会での暮らしでの孤独感、絶望感、虚無感などが感じられます。 生きづらさを感じながらも懸命に生きる姿が魅力的で何度も見返してしまう作品です。 こちらの作品は、映画化もされているのですが都会の高層ビルの窓から映るような赤い航空障害灯が明滅する映像が秀逸です。 閉店してしまった新宿TSUTAYAでレンタルをして観たり新宿ピカデリーで観たりDVDを買い何度も観たり大切な作品です。

  4. 042022年を振り返ろう!

    『美しいからだよ』水沢なお

    花はきれいじゃないといい殴られたきみは忘れられた稜線をなぞる傾きかけた街のような目をするそれなのに自分のことさえ助けようとしない助けることができないともすればそれは美しい美しいからだそのきみが美しいからだよ

    未成年的感性と陶酔感漂う詩と白昼夢の様な空気感などが感じられる作品です。自分は、無機質なものに美を感じて生きてきたのですがそれは厭世的傾向にあるからかと思います。 装画は、イラストレーターの「みなはむ」さんが担当している事も魅力的です。 中沢けいさんの様な青春文学的な要素と儚く寂しそうな目をした影のあるキャラクターに惹きつけられます。 みなはむさんの所持している作品で好きなものは「ゆめかうつつか」「春のふらここ」「生活と言い訳」「マリンリゾート南風」です。

  5. 05新年

    『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』岡野大嗣、木下龍也

    Googleに聞いてもヒット0だったからまだ神にしかバレてない

    好きな場所や好きなアイテムは大抵iPhoneの検索機能からは出て来ません。それは自由で穏やかな事です。 表紙は、お昼過ぎに起きて部屋から見る世田谷区の景色を連想します。集合住宅から目に映る景色、カーテンや窓の外はとても魅力的に思います。 自分は、匂いというのは文学の領域の認識で捉えているのですがこの作品も詩からは夏の匂いを感じられます。

  6. 06バレンタイン

    『ロマンチック・ラブ・イデオロギー』手塚美楽

    家出少女みたいな謎のメンタリティ2人でいると文字化けしそうだ

    まだ寝てる?運命の人、聞こえてる?今桜上水だけどなんかいる?

    食べるのが遅い喋るのが上手いフィッシュマンズの歌詞みたいな人

    多重の比喩表現に包まれている言葉選びが印象的です。 詩に登場するミュージシャンも魅力的です。 魚喃キリコさん、岡崎京子さんの様なサブカルチャー且つ日常的視点に惹かれます。 縷縷夢兎のマフラー、キルリモートのスウェット、ケイスケカンダのぶかぶかのダッフルコート、バルムングのネオプレーンスウェットビッグパーカー、クロマのディストピアコート、大森靖子さんの絶対少女のアルバム、世田谷区。杉並区。中野区。練馬区。手塚美楽さんの詩は、上記の物や場所を連想します。 手塚さんが直接口にしたり聞いたりした様な言葉が印象的で生々しく生活感がある詩集かと思います。

  7. 07卒業

    『花は泡、そこにいたって会いたいよ』初谷むい

    エスカレーター、えすかと略しどこまでも えすか、あなたの夜を思うよ

    大人にはなりきれなくてコンビニを出てすぐ買ったグミをひらいた

    装画は、イラストレーターの「大島智子」さんが担当している事も魅力的です。大島智子さんの描くキャラクターは、色白で目が死んでいて影があって幸薄い女の子が特徴的です。 エキストラの様な女の子に焦点を当てたテーマは半径1m以内の生活感ある雰囲気。 儚く淡くて消えそうでいつもどこか寂しそうな白くて細い低体温な雰囲気。 東京都町田市を連想します。 東京・渋谷のGALLERY X BY PARCOでの個展「パルコでもロイホでもラブホでもいいよ」ヴィレッジヴァンガードでのサイン会など学生の頃によくイベントにお伺いさせて頂きました。 初谷さんの詩は、刹那的で生活感があります。 秀逸で唯一無二な言葉選びとサブカル感が特徴的です。

  8. 08春

    『まばたきで消えていく』藤宮若菜

    いつまでも少女でいてとコンタクトレンズを踏みつぶすような祈り

    幸せな気持ちをこんなに集めてもまだ死にたいねさみしい朝だ

    花火振りまわして焦げた銀杏BOYZのTシャツつぎの夏へと運ぶ

    原文ではほか 1 首

    水彩画のような風景が淡く写り透明な幻想文学の様な表紙。清廉で白昼夢。希死念慮と少女性への執着。無機質で唯美的な、儚さ。シューゲイザーの様な詩。 藤宮さんの詩からは、テン年代のTwitter。残響レコードの様な音楽を連想します。 悲なみさん、緑川桃子さん、にかもきゅさん、まきろんさん、りなはむさん、「ゆめかわいい」の様な幻想的なカウンターカルチャー要素ある方達を連想します。 帯には、ハルカトミユキさんがコメントしている事も魅力的です。 シロツメクサの花の様な美しさと静寂で淡い言葉選びに惹かれます。 物憂げな郷愁感,陶酔感,浮遊感,積鬱感,喪失感ある雰囲気が特徴的です。 夏に喪服を着て外の光を見続けると光の色を感じなくなって目を離した後は、光と反対の補色の残像が見えるような感覚。 閉園後の遊園地の様なさみしさ。

  9. 09脱力

    『エモーショナルキリン大全』上篠翔

    新宿へ着くまで何度死にたいと思っても着く小田急線は

    ミラクルな魔法少女になる枝は新百合ヶ丘のKALDIにある

    ずいぶんと長いあとがき読み終えて登戸にまだ溜まっている

    原文ではほか 1 首

    小田急線沿いの詩が豊富に書かれていることが魅力的です。 二度と来ない平成とテン年代の雰囲気と場所の刹那。ニヒリズムとサブカル要素が特徴的な詩。新宿の水道水のカルキの味。狛江市の高校、アメスピのメンソールライト、東京都町田市、泉まくらのCandle、大島智子のイラスト、モッズコートm-51、ゴトウユキコの水色の部屋、花澤健吾のアイアムアヒーロー、ハサミグループのLADY、浅野いにおのおやすみプンプン等を連想します。 多感な時期のテン年代を過ごした方に相性が良い詩集かと思います。

  10. 10雨

    『いっさいすべての春』久保泉

    夏はぜんぶ僕があげる、フジロックよりビアガーデンよりビーチより、 君と家のベランダで線香花火をしよう、そこから見えるマンション、どれに住みたいとおもう、なんて話して、たまに銭湯行って帰り道ビール片手にそのマンションに忍び込んでみようよ、君がいればなんだって物語がはじまるんだ

    帯には、ミスIDで印象的な戸田真琴さんがコメントしている事も魅力的です。 デルフィニウムの花の様な雅やかでやさしい言葉選びに惹かれます。 オトナシウム、フタツククリのセーラー縛りワンピース、梨凛花、兎丸愛美の写真集きっとぜんぶ大丈夫になる、石指拓朗の君が住む街へ、等を連想します。 春を抱きしめるかの様にあたたかな詩集かと思います。

  11. 11七夕

    『ねむりたりない』櫻井朋子

    都庁/痛みさえ光ってしまう新宿は空室だらけの愛でまぶしい、 アパートのどこかの窓で風鈴が今年も夏を測り始める、 どの夏もどこかで続いていたらいいカットグラスを両手ですすぐ、 吊り革を掴みそこねてよろめけば快速列車に零れだす夏、 スプーンを洗うときより少しだけフォークを洗う水はつめたい、 いちご味といちごはちがう叫べない夢のほとりを走りつづける、 好かれたいというより許されたかったのお蕎麦屋さんのカレーみたいに、 「秒針の音が気にならない夜は初めて

    情念、憧憬のある詩、諧謔的な言葉選び、安堵感、諦念感が漂います。 魚喃キリコさんのblueの映画、南瓜とマヨネーズを観た後の空気感。 櫻井朋子さんの詩は、繊細さと寂しさが特徴的です。 7月、8月、夏に相性の良い詩集かと思います。

  12. 12夏休み

    『きみを嫌いな奴はクズだよ』木下龍也

    二階堂ふみと四階堂ふみと六階堂ふみふみふみ

    Googleの昼寝によって新着のニュースの欄に寝言がならぶ

    必要以上に破られないためのバンドエイドの箱の点線

    原文ではほか 4 首

    喪失感とポップの両立が特徴的な詩。 無機質で低体温な詩が詰まっている作品かと思います。 アクチュアルと非現実感の両立をしたアプローチ。 喪服を着て夏に読むと相性の良い詩集かと思います。

  13. 132023年1周年!

    『青を泳ぐ。』杉谷麻衣

    保健室の南のまどからだけ見える三時間目の海が好きです

    制服の下に君との夏かくし地理の時間は潮風を聴く

    教室に向かう廊下は今日もまた私が歩くときだけ螺旋

    原文ではほか 3 首

    清涼感、潔白感、純真感、シャープな詩が特徴的。 学校に馴染めない隔意ある女子生徒の心情。 デスケルに初めて触れたときの美しさと清廉感ある詩。 麻衣さんの詩は、陶酔感があり繊細な透明感と淡い言葉選びが印象的です。 カルピスウォーターの様な詩は、学校の下校時、放課後の四月に読むのが相性良いかと思います。

  14. 14食欲の秋

    書名の記載なし

    紀伊國屋書店の二階から見えるメリーゴーランドを傘と呼ぶ

    虚しいという感情は感情のなかでもっとも雪に似ている

    ガブリエル。IKEAのサメにきみが名を与えるガブリ(噛むからね)エル

    原文ではほか 5 首

    東京都渋谷区の詩、荻窪の詩が多く題材となっています。 短編小説の様な繊細な詩。 作品に登場する固有名詞が魅力的。 ファムファタルな雰囲気。 西荻窪は、非常に思い入れのある場所です。 西荻のむし箱という飲食店を連想します。 江口寿史さん等も連想致します。 虚構な恋愛を体感出来る今の季節に相性の良い一冊となっています。

  15. 15文化祭

    『コンビニに生まれかわってしまっても』西村曜

    サブウェイの店長として一生を終える他人がとてもいとしい

    百均で迷子になってもこれぜんぶ百円だっておもって走れ

    い・ろ・は・すに色はないのに味のする これは梨味 そういうものと

    原文ではほか 4 首

    コンビニ、雑貨店、ファストフード店の詩が印象的。 コンビニでの無機質な会話の詩は、秀逸です。 繊細且つ希薄感ある不条理な詩が魅力的。 11月、12月、冷え込む時期に深夜に行くコンビニの最中に読むのが相性良いです。

  16. 16クリスマス

    『煮汁』戸田響子

    エンジェルを止めてくださいエンジンの見間違いだった地下駐車場

    郵便がカタンと届き昼寝から浮上してゆく振り向けば海

    塀越しによくしゃべってた隣人の腰から下が人間じゃない

    原文ではほか 3 首

    純文学特有の雰囲気が特徴的。 オカルト要素も兼ね備えている詩は、1995年~2005年にコアマガジンから刊行されていたカウンターカルチャー誌、バーストを連想致します。鳥肌実、ケロッピー前田さん等も連想致しました。町田康さんが帯を書いている事も魅力的で説得力があります。中島らも、石丸元璋を彷彿させる妄想感、陶酔感。多幸感。強迫観念。 オカルトニュースメディアのTOCANA、月刊サイゾー、月刊オカルト情報誌ムー等を購読している方々にも相性の良い作品かと思います。

  17. 17新年

    『適切な世界の適切ならざる私』文月悠光

    卒業式に着たブラウスを懐かしく広げてみると袖口に光るものがある

    スカート丈を上げるため、女子トイレの個室で毎朝行われる儀式がある。幾度が折ったうえ、すそを引っ張る手首は矛盾。揺れるギンガムチェックが私の太ももから消えない

    紺色のカーディガンの毛玉をつまむ度、忘れていく。血を流しても、たちまち暗くふさがって生まれ落ちる前の入口に立ちかえっている

    原文ではほか 7 首

    14〜17歳の少女が体験した詩は秀逸です。 「理科室」「保健室」「美術室」放課後、校長室、制服、教科書、革靴、卒業式、空間等を利用した様々な題材から身体の若い敏感で痛々しい揺らぎをグロテスクでメンヘラ文学要素が特徴的な女子高生の日々を詩で非現実的化した様な自意識、閉塞、疎外、哀愁漂う雰囲気。 文学に浸かった思春期の陰鬱な女子高生の刹那的な解釈が印象的。 制服を着ていた記憶を連想させる詩は魅力的。 生きづらさを感じる方々に相性の良い作品かと思います。

  18. 18節分

    『味のない水が美味しい』輪湖

    夜ぎの濡れた制服ベランダで怪物みたいな夜の街灯

    深海で君に触れたら泡になる夢のなかでも口紅溶けて

    夏雲に覆われていて天国の距離まで遠くなっていく空

    原文ではほか 5 首

    優しい思考の詩が魅力的です。 松永つぐみさんの様な淡いMVを観ている様な印象。 ヒロネちゃんのカロリーメイト、つくしちゃんのrasolpaの砂色等の楽曲を連想します。透明な水の様な唯美的な虚無感ある緩やかな雰囲気が穏やかで落ち着きます。 レモンスカッシュの様な爽やかさ且つ淡いノスタルジアな空気感。 テンネンダイの淡い穏やかな空気感が好きな方々に相性の良い作品かと思います。

  19. 19機内食

    『硝子のボレット』田丸まひる

    じゃあ非常階段に来て。眼裏の雪のすべてが燃えきるまでに

    スカートの奥の夕陽を裏返すような行為をうまくできない

    けれどまた笑ってほしい今朝虹が出ていたことを告げる回診

    原文ではほか 6 首

    96ページ夏のカルテという目次が好みです。 44ページカルピスがあますぎるの目次も好みです。 病室にいる様な空気感。看護師さん患者さんの様な処方箋の様な詩が特徴的です。 病室で退屈をしている方々に相性の良い作品かと思います。

  20. 20III

    『ちるとしふと』千原こはぎ

    存在をときどき確かめたくなって深夜ひとりで立つ自動ドア

    おかえりと言う人のない毎日にまたひとつ増えてしまうぺんぎん

    2番線ホームに緑色をした憂鬱がまた到着します

    原文ではほか 6 首

    喪失感、閉塞感、孤独感漂う雰囲気ある詩が特徴的。 冷静さを失わない詩は魅力的。 孤独感ある方々に相性の良い作品かと思います。